日本におけるのれんの歴史

のれんの歴史はどうなっているかというと、この言葉が使われるようになったのは鎌倉時代末期です。

中国から禅宗と共にもたらされた用語で、当時は暖かいすだれという意味でした。
元々冬の寒さを防ぐ為に、禅堂の入り口にかけたすだれに綿布を重ねたものでしたが、日本では中を割る事で、人が通りやすく工夫されて、独自の進化をしていきます。

室町時代になると、商家がそれぞれ独自のデザインをのれんに入れ始め、屋号や業種を庶民に分かりやすく知らせる為のものとして使うようになります。

のれんの用途

しかし文字というよりは、動物や植物、色々な道具類の形や単純な記号等がデザインの多くに使われました。

何故なら当時は文字が読めない人も多かった為、デザインの方が分かりやすかったからです。

屋号等の文字が入るようになったのは、桃山時代末期頃からです。
その後江戸時代に入り、庶民の識字率も高くなると文字も広く使われるようになりました。

江戸時代にのれんは大きく発達します。
主にお店の入り口にかけられるものは外のれんと言われ、様々な商家の屋号や商標、家紋等がデザインされ、単に日よけに使われるという事ではなく、屋号や自分のお店が取り扱っている商品名を庶民に知らせる為の宣伝や広告目的で布で出来た看板として使われました。

家の内部にかける内のれんは、江戸時代に目隠しや間仕切りとして、寝室や納戸等の入り口に使われていました。

目隠しとして

さらに、歌舞伎等のお芝居の世界でも舞台奥に切られた出入り口にかけられる等、優雅で華やかな表情を持っているのも大きな特徴です。

そして現代でものれんはお店や家の中で、新しい暮らしと調和しながら活躍し続けています。